外国人材紹介企業からみた日本語学校の入口~出口戦略とは ~将来、日本において長期で活躍する外国人材を育成するために~

ウェビナーレポート

9月28日(水)Linc主催ウェビナー

外国人材紹介企業からみた日本語学校の入口・出口戦略とは

~将来、日本において長期で活躍する外国人材を育成するために~ 

を開催し、日本語学校の先生方より合計32名にご参加頂きました。(ZOOMにて23名、Lincのオフィスにて8名)

今回は、下記の2名をお招きし、発表いただきました。

①株式会社ワンテラス 石中達也氏

②フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 柴崎洋平氏

ー背景、目的及び期待ー

 

今回のテーマを選んだ背景としては、入口戦略の学生募集については、今まで学校が自校や日本の魅力をどうアピールすれば良いかわからず、今後の募集に不安を抱えている、という意見をよく耳にしています。また、出口戦略として、主に学生が卒業後の就職に関する課題や悩みとして、企業が求めているニーズがわからない、校内において就活関連の知識やノウハウを持った人材がいないなどの意見が挙げられています。将来的に来日留学生を増やし、長期的に活躍できる人材を育成できるようにするために、そして他校との差別化を図るために、日本語学校が入口〜出口までの戦略を皆様と一緒に考えていければと思います。

ーウェビナー発表内容ー

①株式会社ワンテラス 石中達也氏

■入口戦略(学生サイドの需要)ベトナムの学生事情

 

2017年5月創業期~コロナまでは、ベトナムにて留学エージェント事業を行っていたこともあり、まずはベトナムに関する入口戦略に関してお話いただきました。

ベトナム現地の日本語学習者の状況は、下記の通りです。

コロナの事情もあり、留学希望者が減ってしまったことは避けられませんでした。しかし、下記のデータによればN1~N2レベルの受験者が増えていることにより、進学目的での来日が増えていくと予想されます。

ー日本語学校を選ぶ基準、求めるポイントー

来日のベトナム人学生のおよそ8割がまず日本語学校へ通うとのことですが、どういう基準で日本語を選んでいるのか?選定基準を表したデータが下記の通りです。

また、学生や保護者からよく聞かれる質問としましては、下記7つがあげられます。

 

・留学生の数(内ベトナム人の数)

・ベトナム人が多い学校・学科

・学生の進学率・就職率

・応募条件(学歴、日本語レベル、その他)

・奨学金交付率、細かい条件(学歴、日本語レベル、その他)

・学生サポート状況(寮や賃貸探し、入国・生活サポート、アルバイト紹介サポート、就活サポートなど)

COVID-19の対応(入学や就学困難な場合)

ー学生募集のためのアプローチ方法ー

 

現地の大学・専門学校・高等学校・日本語学校で説明会

 →ターゲットの学生を絞って、当てはまる学校で行う

一般説明会・ライブ配信

 →「とりあえず留学を考える人」に中心

インターネット・SNS上で留学希望者に直接アプローチ

 →確実に留学したい人に商談

広告・デジタルマーケティング

 →認知度を上げることによって、学校への営業や学生に紹介を得られるようにする為

 

応募者を増やす為には、下記3点を継続的に行い続ける必要があります。現地留学エージェントを無くして自前で募集するというよりは、付き合い方を変えて学校のPRを学校の名前で行っていくためにどうするかが重要です。

■出口戦略(就職状況からの需要)学生サイド

ー日本企業が留学生に期待することー

 

スペシャリティと言語・文化に関してどちらを進めるべきかを就職先のエリアや企業規模に関する背景から説明を行うのが重要です。

【優秀な学生を採用したい】

スペシャリティ > 言語・文化

 

  • 高度な専門スキルが求められる

特に日本の地方中小企業などではよりチャンスは広がる

【グローバル化を推進したい】

スペシャリティ < 言語・文化

 

  • 企業が進出する先の言語や文化理解が求められる

ASEAN・EU・アメリカなど、進出地域でのマネジメントやスタートアップに期待

 

ー留学生の就職のための必要なことー

 

以上のことをふまえ、スペシャリティ や言語・文化のベースをつくった上で、留学理由と志望理由に一貫性のあるストーリーを準備することが大切であると考えます。具体的には、下記があげられます。

 

1.日本に留学した経緯

  ・興味を持ったきっかけ

  ・実際に起こした行動

2.日本で体験したこと

  ・たいへんだった、苦労した点は何か

  ・それをどうやって乗り越えたか

3.日本(日本の企業)で働きたい理由

  ・なぜ日本(日本企業)なのか

  ・何を実現したいのか

  ※採用する企業のメリットは何か

②フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 柴崎洋平氏

ー日本語学校の入口(募集)及び出口(就職)戦略に関するアンケート結果ー

 

ウェビナー実施前、フォースバレー・コンシェルジュ株式会社と協力し、Lincが下記対象者に対して今回のウェビナーテーマに関するアンケートを行いました。

 

<アンケート概要>

対象:日本語学校及び日本語教育関係者

有効回答:24校(日本語学校:21校、専門学校3校)

 

学生の卒業後の進路は?という質問に対し、約9割が「進学」と回答していましたが、半数以上の学校が、今後、「就職」に力を入れていきたいと回答しました。(下記スライド参照)

しかし、課題を抱える学校が多いことも現状であり、主に下記の5点があげられます。

 

①日本語力が足りていない

②就活関連などのノウハウがない

③サポート体制が整っていない

④就職先が確保できない

⑤特定技能に対する理解不足

ーデータから見る外国人就労マーケットの傾向ー

 

日本人の出生数はピーク時の1/3に近づいており、2050年迄には人口1億人を割り込む見込みです。今後、国内の人材争奪戦はより激化していくとされています。外国人労働者に関しては、2014年約80万人に対し、2020年は約180万人、6年で2倍に増加しています。世界で最も外国人労働者が増えている国が日本です。根拠としては、日本は欧米先進国に比べ、就労ビザが出やすいことが要因にあげられます。

ー出口戦略の新たな提言ー

柴崎氏が考えるのは、「学校を卒業して直接就職を実現」させることです。主にネパールやインドなどの東南アジア地域での話にはなりますが、彼らが真に求めているのは大学や専門学校へ進学することでもなければ、アルバイトでもなく、日本での就職です。大卒を日本語学校へ呼び込み、就職(特定技能や高度人材)へ繋げる仕組みを作ることが、今後の鍵となります。

ー技能実習と特定技能ー

特定技能はネガティブに思われがちではありますが、技能実習と大きく異なることは、転職可能なところです。日本人と同じ賃金水準で働くことができます。日本に長く滞在できる一つの方法といえます。

ーまとめー

 

日本語学校・専門学校が継続的に事業を成長させるために必要なことは下記の4点だと、ご説明いただきました。

 

1.高度人材・特定技能のコースを設立する

2.就職先企業のパイプを構築する

(ノウハウを持つ人材会社に相談することも可能)

3.進学支援のプロだけでなく、就職支援のプロを学内で確保

4.就職にフォーカスして海外でPR→入口戦略に繋げる

 

日本語学校・専門学校が継続的に事業を成長させるためには?

「入口」(入学)から「出口」(就職)のワンセット Study and Work in Japan がキー!

 

発表後は、質疑応答を行いました。今回は、オフライン、オンライン参加者の先生方より沢山のご質問を頂き、今後募集が期待できそうな国や、外国人材が企業で活躍していくために必要なスキルは何か、気になっていることや悩みなどを共有できる場になりました。

発表内容の詳細については、後日、Linc公式YouTubeチャンネルにアップする予定ですので、ぜひそちらからご覧ください。

■最後に

今回のウェビナーに参加いただいたことで、第三者の立場である外国人材紹介企業からの情報をキャッチすることで、学生募集の新たな切り口を見つけ、留学生に何を求め、就職するために何を準備すればよいかを把握することでより最適な学生指導ができるようになれば幸いです。

■株式会社Lincについて

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。また、Lincの活動が注目され、複数のテレビや新聞に外国人材をテーマ関連で取り上げられました。