【地方創生×外国人材】株式会社Linc、「イオンモール太田」にて、外国人材の「定着・活躍」を支援するコミュニケーション研修を実施。
外国人材の「日本に来てよかった」を最大化させることをミッションに掲げる株式会社Linc(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:仲 思遥、以下Linc)は、イオンモール株式会社(以下、イオンモール)が群馬県太田市にて運営するイオンモール太田において、テナント従業員様向けに外国人材とのコミュニケーションに特化した研修セミナーを実施しました。
Lincは、外国人材に特化した「Global Hub (グロハブ)」などを通じて採用支援を行うだけでなく、入社後の定着・活躍を見据えたサービス提供に注力しています。今回実施されたコミュニケーション研修は、マニュアル的な表現集のレクチャーではなく、参加者自身が「外国人の思考」を体験し、「自分たちの現場に合った伝え方」を考えるプロセスを重視しました 。これにより、現場スタッフが外国人スタッフやお客様とのギャップを理解し、コミュニケーション方法そのものを見直す機会を提供しました。
中長期的には、人手不足が深刻な地方都市において、外国人材が「働きやすく、住み続けたい」と感じる環境を整備し、地方の人手不足解消のモデルケースを構築して参りたいと考えております。
背景
イオンモール太田の所在地である群馬県太田市は、古くから製造業が盛んな「ものづくりのまち」として発展してきた地域です。巨大な製造拠点と、それを支える関連企業の集積が、太田市の経済を牽引してきました。そのため、製造業の現場で働く労働力を確保するため、太田市は特に外国人労働者の受け入れを積極的に行ってきた歴史があり、太田市のHPによると令和7年10月末の人数ベースでの外国人比率は7.4%と全国平均を大きく上回る地域のひとつとなっています。
イオンモール太田においても、近年テナント各社における外国人スタッフの採用が進み、多様なバックグラウンドを持つ人材が現場で活躍しています。その一方で、
「就業ルールや館内ルールの理解が行き届かず、現場での運用に差が生じてしまう」
「日本語で用意されたマニュアルや研修動画が、外国人従業員にとっては難易度が高い」
「外国人のお客さまとのコミュニケーションにおいて、よりよいものに改善していきたい」
といった声が、日々の現場から上がっていました。
こうした状況を受け、まずは「既存の研修用ビデオに多言語字幕を付ける」という案が検討されました。しかし、Lincがこれまでの外国人材支援の現場で蓄積してきた知見からは、
- 日本語だけではなく、日本の文化や習慣の理解がなければ問題解決にはならない。
- ルールの背景や理由が説明されておらず、「なぜ守らなければならないか」が伝わりにくい
といは問題は解決せず、日本人スタッフが外国人の思考を理解し「コミュニケーション方法の設計」を見直す必要があると考え、現場スタッフ自らがそのギャップを体験し、改善策を考えることができる研修プログラムを企画しました。
研修の実施概要

本研修では、参加者自身が「外国人の思考」を体験し、その気づきを基に「自分たちの現場に合った伝え方」を考えられるようになることを目的に企画されました。リアルな現場の声をもとに研修を設計するため、開催前にテナントスタッフの皆さまにアンケートを実施し、接客時の困りごとを伺いました。
その中では、次のような具体的な声が寄せられました。
- 日本語が話せないお客様に商品の説明をしようとしても、どこまで理解してもらえているのか分からない
- 翻訳アプリを見せながら接客しているが、訳が正しいのか不安なまま対応している
- 商品の用途やお客様の身体にあわせた測定の流れを説明する際に意思疎通がうまくいかず、結果として満足なサービスを提供できないことがあった
これらのアンケート結果から、外国人スタッフとのコミュニケーションよりも接客に大きな問題を抱えていることが分かりました。そして「言葉がうまく伝わらず、接客がスムーズにいかないまま、購入に至らず帰られてしまうお客様もいる=購買チャンスを逃してしまっている」という現実も浮かび上がりました。
今回の研修はアンケートで得られた現場の声を踏まえ、これらの要素をできる限り反映する形で設計しています。
「外国人」の解像度を上げてみる
研修の冒頭、講師から参加者に共有したのは、次のような前提条件でした。
- イオンモール太田に来店する外国人のお客様の多くは、いわゆるインバウンドの短期旅行客ではなく、日本に中長期で暮らしている方が大半であること
- そのため、日常生活に必要な日本語にはすでに一定程度触れており、「まったく日本語が分からない」という人は少ないと思われる
- 一方で、来店される方の国籍・背景によっては、英語が分からない、あるいは英語に苦手意識を持っている人も少なくないこと
つまり、「外国人」という大きなカテゴリーで考えるのではなく来店するお客様の属性を分析したうえで「英語で話せば解決する」という状況ではなく、整理された日本語であれば十分に理解できるお客様が多く存在しているということが伝えられました。
事前アンケートでは、スタッフからは次のような声も聞かれました。
- 接客するためには英語を勉強しないといけないのでは、と感じている
- 英語にも日本語にも自信がなく、結果として翻訳アプリだけに頼ってしまっている
こうした前提を共有することで、「外国人=英語で対応しなければいけない相手」というイメージをいったん手放し、「日本語の伝え方を工夫すれば、伝わる相手がたくさんいる」という認識に切り替えていきました。
「日本人から見た日本語」と「外国人から見た日本語」の違いを体験
研修の中盤では、「日本人から見た日本語」と「外国人から見た日本語」の違いを体験的に理解するセッションを行いました。
この中で講師は、次のような点を指摘しました。
日本語を母語とする私たちは、「丁寧であること」=「長く複雑な表現を使うこと」と 無意識に結びつけてしまいがちです。
しかし、外国人のお客様やスタッフにとっては、日本語が通じなければ、
それが丁寧かどうかを判断することすらできません。
まずは「きちんと伝えること」を優先することが大切です。
このセッションを通じて、多くの参加者が、
- 「今まで『ちゃんと丁寧に言わなきゃ』と思っていたが、伝わらなければ意味がない」という視点は新鮮だった
- 「丁寧な日本語を頑張って理解してもらう」のではなく、「分かりやすく伝える側の工夫」が必要だと感じた
といった気づきを得ていました。
その後、実際に接客時に使用されている言葉を例に「なぜ伝わらないか?」「どうしたら伝わるのか?」についてグループで考えながら学びを深めていきました。

(グループワークの様子)

(研修資料の一部)
アンケート結果
研修後に実施したアンケートでは全ての項目において参加者全員から高い満足度の評価をいただきました。
自由記述では、
- 「改めて、日々の接客や日本語の使い方について、色々と考えるきっかけになった」
- 「日本人と外国人では固定概念がそもそも異なることがわかってよかったです。」
- 「他のスタッフにも受けてほしい内容だった」
といったコメントも寄せられました。
研修を終えて
今回の研修に受講者として参加されたイオンモール太田のご担当者からは以下のようなお声をいただきました。
“テナントの従業員の方が日々外国人スタッフの方や来店される外国人のお客様と接する中で実際にどのようなことにお困りになっているのかを本部として理解することが出来たこともよかったです。
シンプルにとてもよい研修だったので、より多くのテナント従業員に参加して頂けるようにしていきたいですし、今回の研修でご説明頂いた内容の一部はテナントに配布させて頂きたいくらいです。
今回はまずは初回ということでテナントの皆さまの様子や反応を確認させていただくということも研修開催の1つの目的ではあったので、今回の内容を受けて今後の研修なども検討していきたいです。”

イオンモール株式会社 イオンモール太田 ご担当者様
今後の展望
Lincは、「Learning(学習)」「Career(就職)」「Life(生活)」の3つの領域を網羅する「Linc Ecosystem」の構築を推進しています。 今回のイオンモール太田様へのサービス提供を皮切りに、今後、商業施設やショッピングモール全体を対象にした求人の一元管理や各テナントごとの業態に合わせたカスタマイズ研修に積極的に取り組んで参ります。また、全国の商業施設、物流、介護、宿泊業界など、労働力不足に直面する現場に対し、採用から定着・活躍までを一気通貫で支援するインフラとしての役割を拡大してまいります。
地方都市において、外国人材が地域の担い手として尊重され、活き活きと働く未来。Lincはテクノロジーとコミュニティの力で、その実現を加速させていきます。
代表メッセージ:株式会社Linc 代表取締役 仲 思遥
まず、全国有数の商業施設を運営されるイオンモール太田様という大手クライアントの現場における具体的なコミュニケーション課題に対し、Lincならではの切り口でアプローチし、参加されたテナント従業員の皆様から高い評価を頂いたことを、心より光栄に感じています。
私たちが目指すのは、一時的な解決策の提供ではありません。この事例で明らかになったように、外国人材の「採用」「定着」「活躍」は、それぞれが独立した課題ではなく、現場のコミュニケーション設計から一貫して取り組むべき構造的なテーマです。
そして、最も重要なこととして、当社は今後、地方における外国人材の活用支援に注力してまいります。人材不足の波は都市部以上に地方に深刻な課題として集積しており、地域社会の活力を維持・向上させるためには、外国人材の力が不可欠です。私たちは、太田市のような外国人比率の高い地域での成功事例を横展開し、現場の課題に寄り添った実効性の高い支援を通じて、日本の地生に貢献してまいります。
■株式会社Lincについて
所在地:東京都千代田区内神田1-7-4 晃永ビル4F
代表者:代表取締役 仲 思遥
URL:https://www.linc-info.com/
本件に関するお問い合わせ先:株式会社Linc 広報担当
E-mail: support@linc-info.co.jp