日本語学校の新たなビジネスチャンスを考えよう〜中国国内における日本語教育事情を知る〜セミナーレポート

5月26日(水)Linc主催セミナー日本語学校の新たなビジネスチャンスを考えよう〜中国国内における日本語教育事情を知る〜」を開催しました。

今回は、オフラインでは日頃お付き合いのある日本語学校の先生方5名をLincのオフィスに招待し、オンラインでは60名、合計65名の方にご参加いただきました。

今回こちらのテーマを選んだ背景として、
コロナウイルス感染拡大の影響により、各日本語学校では学生募集が難しくなり、さらに仲介による募集手数料が高騰し、経営難に陥っている日本語学校も多く存在しています。

その一方で、中国高考(日本でいう大学入学共通テスト)で外国語科目として、日本語を選んでいる高校生がこの5年間で急増しているのはご存知でしょうか?

中国の大学受験の事情を知り、日本留学ターゲット層である日本語学習者の高校生の考え及び課題を理解し、そしてこの学生たちが将来的に日本留学に来てもらい、新しい収益源を確保するために、日本語学校の経営者が、今何を準備したら良いかを一緒に考えていけたらと思います。

■中国の高校生にとって、一発勝負の中国大学受験とは
中国学生にとって、「高考」は人生の運命を決める重要なカギと言っても過言ではありません。そもそも中国の大学受験システムは、日本とは大きく異なります。

日本では大学共通テストや各大学の試験、2次募集など挽回するチャンスや選択肢の幅がありますが、中国では高考の点数だけで入学が決まり、それ以外の試験は存在しません。

さらに、地域によって募集人数が異なり、1つの大学しか合格できないシステムになっているため、日本のように複数大学に合格し、入学したい大学を最終的に自分で決められるといったチャンスもありません。
浪人制度も基本的にないため、まさに、中国の大学試験は「一発勝負」です。
では、なぜ大学進学、高考がこれほど重要視されるのか?
中国は、日本と比べても遥かに「学歴社会」が根強く存在しています。
中国のニュースによると最近毎年900万人の大学生が卒業しています。その中で約400万人が正規雇用先が見つからず、就職を諦めて、大学院に進学しています。残りの500万人のうち、就職できるのは100-200万人しかいません。
残りの学生は大学卒業=失業してしまうのです。
そのことから、厳しい競争環境のなかで、いかに高得点を取得し、レベルの高い有名大学の入ることが、保護者と学生にとって運命の分かれ道になるのです。中国の高考制度を分析した結果、国語や数学などの基礎科目よりも外国語科目、さらに漢字が使われる外国語、日本語が選ばれることになりました。

具体的な数字で見ていきますと、2016年からスタートした日本語科目の受験生が約1万人に対して、2021年には20万人の申込者がいると関係者より話を聞いております。たったの5年で受験者が20倍にも増加しています。(上記スライド参照)

上記の数字を分析し、高校三年間トータルで日本語学習者の規模が100万人にも上ると予測しています。では、なぜ外国語科目として、日本語が選ばれるのか?
3つの視点から理由が考えられます。

(1)中国政府の視点
・世界において、中国の影響力を増すために、多言語人材の育成を加速させるため
・一帯一路の国策で、関わっている国の言語が使える人材を増やすため
・経済面や貿易面において、外国語人材の多様性を育成するため

(2)中国高校の視点
・外国語科目の高得点を狙えるため
・学校の大学進学率を高めるため
・他高校との差別化を図るため

(3)高考受験生&保護者の視点
・受験勉強において、中国人にとって、英語よりも日本語のほうが高得点を取得しやすく、良い大学に合格できるため
・将来的に日本留学をするため
・日本語が話せる人材に対する需要が高まり、将来的に就職しやすいため

■英語試験、日本語試験を比べた志望大学合格への分かれ道
こちらは、高考試験の外国語試験の中で、英語科目と日本語科目を比較した表です。(上記スライド参照)

平均点数を見ると、35点も差があることがわかります。この差は、100万人単位でランキングが変わり、志望大学に入れるかどうか大きく影響されることでしょう。

■日本語受験者数が急増による課題

過去5年間で20倍もの日本語科目受験者が増えたことにより、中国国内の日本語教育事情では様々な課題が出ております。今回、現地で日本語を教えている先生にヒアリングをしたところ、下記の課題が挙げられました。

(1)中国国内の日本語教師の数が足りない

(2)中国国内の日本語教師の教えるスキルが低い

(3)中国国内の日本語を学ぶ学生の内発的動機付けが不十分

■解決に向けてのアイデア

これらの課題解決に向けて、Lincがいくつかのアイデアを考えさせていただきました。
今後、日本国内の日本語学校さんと協力して課題解決に向けた取り組みを行いたいと思います。

(1)中国国内の日本語教師の数が足りない
①日本語学校の先生活用:オンラインシステムを通じて、定期的に授業を行う
②現地にある高校や語学センターと提携し、日本人先生を中国へ送り込む
③中国で日本語専攻している学生に日本語講師養成講座を提供

(2)中国国内の日本語教師の教えるスキルが低い
①日本語学校先生の活用:中国で教えている先生に対し、発音や教え方の伝授
②現地の中国人日本語教師の教育スキルをチェックし、FBをする
③中国人日本語教師に日本に来てもらい、日本語学校の授業風景を見学する

(3)中国国内の日本語を学ぶ学生の内発的動機付けが不十分
①オンライン・オフラインの日本語会話コーナー開催
②日本の面白いところをライブ・録画で配信
③日中間の学生コミュニティの構築

など・・・(一部抜粋)

これらの意見は、Lincが考えた、まだ未熟な意見です。
日本留学や日本語教育を盛り上げていくために、主役の皆さん、つまり日本語学校や日本語学校の先生のご協力が必要不可欠です。
将来的にまだ留学を検討していない、日本語学習をしている高校生が日本に来てもらえる方法を一緒に考えたいと思いますので、
ぜひ日本語学校の皆様と一緒に良いアイデアを考えていきたいと思います。
もしご興味ありましたら、下記「本件についてのお問い合わせ」よりご意見をお送り下さい。

■最後に
ご参加いただいた日本語教育関連者に、Lincが調査した中国の高考事情をシェアすることで、新しいビジネスチャンスを見つけ、今の状況から脱出できたらと期待しております。

現在、Lincでは中国国内で日本語科目を教えている高校を調査しております。その後、興味のある学校様へ限定公開をさせていただく予定です。
また、来年以降、Linc主催の中国における日本語教育機関を巡るツアーも検討しておりますので、興味のある方いらっしゃいましたらぜひお問い合わせください!

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
※また、まとめサイトへの引用を厳禁いたします。

■本件についてのお問い合わせ

①お問い合わせ先:https://www.linc-info.com/contact/

件名に日本語学校の新たなビジネスチャンスを考えよう」を記入の上、必要事項を入力してください。 追って当社よりご連絡差し上げます。

②電話でのお問い合わせ:03-6240-2155(株式会社Linc)まで直接お問い合わせください。 

ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。

■株式会社Lincについて
Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。
(※参考 日本経済新聞掲載記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58522900X20C20A4XY0000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26848240T10C18A2XY0000/

会社概要等、詳しくはLinc公式ホームページをご確認ください。
https://www.linc-info.com/